「自然農法コラム」堀健司
今日、キングダム・アカデミーに向けて出発する、息子の「置き土産」です。
草マルチ
食品類、とりわけ、原料の品質の安全性がとりざたされ、科学薬品の普及する前のそれと比較して消費者の食品への感覚は鋭くなっている。ちまたに、マクロビオティックや自然食品、オーガニックといった言葉とモノが溢れかえり、食への安全・健康志向は、依然として強くある。
消費者が低価格で、安全な商品を手に入れるあまり、野菜の価格は下落傾向だ。したがって、生産者は生産コスト減、配送コスト減が強いられ、より安い労働力、原料、高い効率を求める。
ところで、自然界は、存在それ自体のみではなく、数え切れない動植物、昆虫、菌などが有機的に連携して共生している。自然界から遊離した1種目の農産工場では、予期せぬ病害虫が発生することもあり、多面的な管理が必要である。安定した収穫が見込めても、初期投資が大きいので投資分を回収できないリスクがある。反対に、無機無農薬のオーガニック野菜の生産は、病害虫の駆除に手がかかるが、商品化できる量は少ない。
日本では1930年代から、自然農法と呼ばれる農作法が一部の先駆者によって開発され、現在では国際的な研究センターを拠点にその作法が広まりつつある。その方法では、化学肥料や合成農薬に頼らず、自然界の有機的な連携を生かし、特に土の潜在力を生かすことが重要である。一例をあげると、岡田茂吉(1882-1955)は、耕起、施肥(腐葉土などの自然堆肥に限る)、病害虫防除、人力での除草は、良しとした。
特筆すべきことは、草マルチだ。これは、ビニール製の防草マルチシートを使わず、刈り取った草を畝のうえにのせることで、温湿度管理、雨風による泥の流出防止、病害虫の予防、有用生物の育成などの多くのメリットをもたらす。ビニールが土中に混入し、環境を汚染することもない。また、有用生物とは、土を肥沃にする生き物であり、昆虫が草マルチを摂取したあとの糞を微生物が分解し、その酵素や物質元素が、作物をゆたかに育てるものだ。さらに、菌類が草マルチを分解し、それが緑肥にもなる。
草マルチをめくり、畝をのぞいてみると、炎天下にあっても土は適度に湿っており、その下では蟻や昆虫たちが元気に動き回っている。筆者の育てたとうもろこしは、蟻たちに食べられてしまったが、蟻たちの糞は土をまた肥沃にし、他のために有用な働きをするだろう、と考えた。あとになり、甘いとうもろこしは自然農法には向かないことを知った。成長過程で水をたくさん欲するとうもろこしだが、筆者は種をうめてから一度も水やりをしなかった。それでも実った。
化学肥料、合成農薬によらず、自然界の存在の有機的な連携によって育つ作物は、自然食品のなかの自然食品であり、だれしもが安心して食べることができる幸せの作物なのではないか。このような農作物がよりよく社会に流通し、一人ひとりの食事に健康と安全を満たす日が来ることを期待する。
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